迷っているお母さんの疑問にこたえるために、細やかな情報提供を。

11月14日に「ここが変だよ「反ワクチン」徹底分析!」というイベントにお邪魔してきました。反・反ワクチンという趣旨を明確にしたワクチンの勉強会はきわめて珍しく、お酒を飲みながらでもあるので議論がヒートアップするかと思っていたのですが、そのようなことはなく、いつもお世話になっているアカウントの中の人だらけでオフ会のような雰囲気で和やかに進みました。

今はワクチンが普及したために、かつて多数の命を奪った感染症の怖さが忘れ去られています。2013年の風疹大流行のあと5年のあいだ対策が十分に行われなかったのも、過去の記憶が薄れてしまい、風疹なんて大したことないのでは?という意識が医療関係者のなかでもあるのだと思います。

国も十分な情報提供を行っているとはいえないと思います。流行が起きているこのタイミングで、予算が打ち切られたのでしょうか、厚生労働省が開設していた風しんの感染予防の普及・啓発事業のサイトが閉鎖されてしまいました。

風しんの抗体検査をよびかけるポスターは、抗体価が低かったら予防接種してくださいとは書いてありますが、具体的に値がいくつであれば予防接種が必要なのかということは書いてありません。厚生労働省のウェブサイトには「予防接種が推奨される風しん抗体価について(HI法・EIA法) 」というものがありますが、これは一般向けの資料ではないと思います。

最近ツイッターで抗体がつきにくい妊婦さん視点での風疹流行を描いたマンガが話題になりました(抗体がつきにくい妊婦さんの“風疹への恐怖”を描いたマンガに反響 「私も怖かった」「声を上げてくれてありがとう」の声)。予防接種を受けて抗体がつかなかった場合、再度の予防接種は必要なのか。何度でも受けていいものなのか。そのような疑問にこたえるために「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」に掲載されているようなフローチャートがあれば分かりやすいのにと思います。

そもそも、2013年に45人生まれて11人が亡くなりましたという話は、国も行政もメディアも強調しているのですが、え?たったの45人でしょ?という反応もよく目にします。当事者の私たちにとっては「45人も」なのですが、世間はそうではない。かつての大流行がおよぼした社会的的なインパクト、風疹を理由としてた中絶が増加したことも、国民にきちんと伝えていくべきなのではないでしょうか。アメリカでは1960年代の風疹大流行をきっかけに人工妊娠中絶の議論が拡大したといわれています(ジカ熱の流行は中絶に対する考えを変えるのか?)。

ワクチンを打たないと決めてしまった方を今から説得するのは困難ですが、迷っている方に対しては、正確かつ分かりやすい医療情報を発信していくことで、不安を解消し、打つ方向へと考えていただくことができるのではないかと思います。

現時点でも一般向けにわかりやすく発信してくださっている先生方はおられ、武田けいゆう先生の「外科医の視点」、ぱぱしょー先生の「ぱぱしょー.com:パパ小児科医のサイト | ぱぱしょー.com」、ほむほむ先生の「小児アレルギー科医の備忘録」、相川晴先生の「33歳女医、やっと子どもができた頃」などの良質なコンテンツがあります。

ワクチンも薬品なので打つリスクは当然あります。リスクの低い安全なワクチンが必要なのは言うまでもないことですが、最近ではBCGワクチンの溶解液にヒ素が混入していたことについて公表が3ヶ月も遅れ、日本医師会も11月6日に「乾燥BCGワクチンの品質問題における厚生労働省の対応について」との抗議文を提出しています。仮に健康被害が生じる可能性が低いとしても、情報の公開が遅れることは国民の不安や不信につながり、場合によってはワクチン接種率の低下へとつながりかねません。情報公開をスピーティに行うよう即刻改善するべきです。

ワクチンが存在する病気は、人の命をおびやかす病気でもあるのです。打たないリスクにも、目を向けてほしいです。打たないリスクは見えない。けれど確実に存在するということを、多くの方に知って頂きたいと思っています。

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