『片目失明者友の会』(←facebookページ)という会があります。現在の法律では、片方が健常(矯正視力0.6以上)であれば、片方が失明していたとしても身体障害者手帳が交付されず、福祉サービスを受けることができません。これを変えていこうと署名を集めていくそうです。
私は右耳の聴力を完全に失い、右目も、ものの形が分かる程度(眼鏡をかけても見えません、視野狭窄と眼振のオマケつき)。それでも「失明」しているわけではないので、身の安全を守るのに十分役立っているようです。それが分かったのは、目の手術をした直後に眼帯をつけたときです。片眼はよく見えるので、あまり不便はないかと思いきや、右側の視界が全て遮断され、まっすぐ歩けないし、右側から接近する車や自転車、人に何度もぶつかりそうになりました(右耳の聴力がないので、余計に危なく感じたのかもしれません)。「ある」のと「ない」のとで、不便の度合いが全く違うのだなあと気づかされました。
本来あるべきものが片方だけでもないというのは、皆さんが想像している以上に大変なことです。皆さんも、一晩眼帯を付けて過ごしてみてください。端っこから見えるような付け方ではだめですよ。上からしっからガーゼを貼って視界を遮断してください。その状態で外を歩いてみましょう(危ないので付き添いの人と一緒に!)。
その状態が何年、何十年にわたって続くとしたら、どう思いますか?その間、身体障害者として扱われることはありません。法律の上では健常者として扱われるのです。健常者と障害者の谷間で、就職差別や資格制限などの困難と闘わねばならないのです。
片目失明者友の会は、来年五月を目標に署名と請願書を国会に提出する予定で、署名は一万人を目標に集めているそうです。福祉の谷間にある人たちのために、障害者認定基準が拡充され、必要な福祉サービスを受けられるように、皆さん応援してあげてください。署名ページは『厚生労働大臣: 片眼失明者を障害者に認定すること。』です。
ちなみに、今お話ししているのは目についてですが、耳のほうについても、聞こえない側の話し声が聞こえづらいとか、どこから話しかけられたのか分からないとか、人とのコミュニケーションが難しい場面があり、片方が聞こえないことで学校や職場で差別や誤解を受けたりすることがあります。取れない資格もいろいろとあります。片側失聴についても、片目失明と同じように、認定基準が拡充されるべきであると思っています。
コメント
私と同じような人がいるなんて!と、変な話ですが感動してしまいました。
普通に仕事して生活をしていますが、私は著者さまとは逆で左目の視野がほぼ欠損、また左耳の聴力がなく、体の左側に常に壁があるような意識で生きてきました。左側からの情報はほぼ把握できません。
それでも仕事があって、喋れて、生活できている以上、障害者認定はないんですよね。体の半分より向こうの視覚聴覚情報がないというのは、その分をカバーするのに結構神経を使うのですが。。。
認定基準、拡張されたらいいな、と思っています。
こんばんは、お返事がだいぶ遅くなり申し訳ございません。
いるかさんは、体の片側の壁にあるような感覚なのですね。私の視野は鼻側の欠損で、耳側はまだ視野があり、人や物の動きは大まかに分かるので壁というほどかたい感じはしません。
耳のところに穴があいていて、もちろんそこには聴覚器や脳が詰まっているのですが、何もない空間のように感じます。イメージ的には、頭をかじられたアンパンマン、でしょうかね。
何もない部分から音情報や光情報が入ってきて、気づいた時には人や物に衝突しかけていたということもあるので、日ごろから神経をとがらせているのは、いるかさんとも共通している部分かなと思います。
障害者手帳は、経済的なメリットだけでなく、個々のニーズに合わせた教育を受ける機会を得やすくなるというメリットもあります。認定基準が緩和されれば、自分一人で悩みを抱え込んだまま時間が過ぎていく人を減らせるのではないかと思います。
最近では片目失明者の会の方々の努力により、少しずつ大きな山が動きつつありますが、まだ時間がかかりそうです。早く実現するといいですよね。