風疹のこと

麻疹排除国認定!次は風疹、オリンピックまでに排除を。

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はしか排除、通知書を授与 厚労相「五輪向け維持を」』というニュースがありました。8月31日に麻疹排除国の認定書の授与式が行われたそうです。2015年になってやっと麻疹の排除国とWHOに認められたそうです。

麻疹の次はもちろん風疹です。国は2020年(正確には平成32年度)、東京オリンピックが開催される年までに風疹を排除するという目標を立てています。なぜオリンピックの年なのでしょうか?それは世界各国から観客が訪れるため、風疹を輸入あるいは輸出してしまう可能性があるからなのです。

近年に風疹大流行が起こったのは日本だけではありません。2013年はポーランドやルーマニアでも風疹の流行がありました。また、2011年にも東南アジアを中心に流行がおこりました。

ベトナムでは2010-2011年の流行で292人のCRS児が確認されています(『Congenital rubella syndrome (CRS) in Vietnam 2011-2012-CRS epidemic after rubella epidemic in 2010-2011.』PubMed)。

当時WHOの医務官であった医師が『ベトナムからの手紙No111』の中でこのときの流行に触れており、定期接種の行われていない医療アクセスの悪い国で風疹が流行るとどういうことになるかを知ることができます。

「先天性風疹症候群」の報告は一部の大病院に限られ、その実態は全くわかっていない。 障害を持った子供たちのケアが十分でないベトナムでは目や耳に障害を持った多くの子供たちが、その原因もわからずに、学校にも行けず家事を手伝っていることが多い。 ベトナムでは今回の大流行で4000人以上の先天性風疹症候群の赤ちゃんが一年間で生まれると推定している。風疹に感染したと疑う妊婦の人口流産が急増しているのも悲しい現実である。

さらに『ベトナムからの手紙No120』にもこのようなことが書かれています。

ホーチミン市の第一、第二小児病院には、先天性風疹症候群の子供たちがまだ多く入院している。 退院もできないで死んでいく子供たちもいる。 親に捨てられて、病院に置き去りにされていく子たちもいる。 その子を日夜看つづける医師や看護師たちがいる。そして、障害を持った子供が産まれると知っても、わが子を産み、必死で育てる親もいる。そして、その捨てられた子供達を引き取って育てようとしてくれる人たちもいる。

日本では2013年の流行で出生したCRS児のうち45人中7人が生後5ヶ月までに死亡していますが、それよりもはるかに多くの子供達の命が風疹によって奪われてしまいました。白内障の手術を受けられなかったり補聴器を使うことができなかったりする子供達もたくさんいるのでしょう。とても悲しい現実です。

ベトナムのように海外でも風疹の流行は繰り返されています。日本に来た旅行客が風疹ウイルスを持ち込んだことがきっかけで再び大流行を起こすリスクがあります。逆に日本から持ち出されて海外で流行が起きることもあるかもしれません。風疹が入ってこないように、また海外へと輸出しないために、オリンピック開催までにしっかりと対策しておかなければいけないのです。