過去に風疹に感染したことがあるかどうか、風疹の感染をふせぐのに十分な免疫があるかどうかは、血液検査で調べることができます。
抗体検査が必要な人とは?
- 予防接種をうけたかどうか記憶があいまいな人
- 過去に予防接種を受けた記録あるいは罹患歴(罹患したことを証明する検査結果)がない人
- 40~50代の男性で、第5期定期接種を希望する人(抗体検査が必須です)
なお、抗体検査は必ずしも必要というわけではありません。過去の感染あるいは過去の予防接種で風疹の免疫を持っている人が予防接種を受けても特別な副作用は起きないとされています。海外渡航などで時間に余裕のない場合は予防接種を接種を優先することをおすすめします。
予防接種記録がなければ血液検査でチェック。
抗体検査は、お近くの医療機関で受けることができます。費用は自費となり数千円かかりますが、東京都や神奈川県など、妊娠を希望する女性や同居者向けに風疹予防対策で抗体検査費用の助成を行っていることもあります。
対象となる条件や実施方法は自治体によって異なり、近くの医療機関で受けられる場合もあれば保健所で実施されている場合もあります。事前申請が必要なこともあるため、各自治体のウェブサイトをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
妊娠初期の検診でも風疹の抗体価を調べますが、妊娠したあとで抗体価が低いことに気づいたら「風疹にかかってしまったらどうしよう」と不安になるものです。妊娠する前に調べて予防接種を受けておきましょう。
不妊治療を受けている方は、治療開始前に抗体価をチェックしておくことをおすすめします。接種後2ヶ月避妊するのは時間がもったいないと思うかもしれませんが、「あのときやっておけばよかった」と後悔しないためにも、抗体価が低い方は予防接種を受けてください。
今なら、40~50代の男性は無料で検査を受けられます
国の「風疹の追加的対策」政策により、2019年から無料で抗体検査を受けられることになりました。対象は、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの人で、各自治体からクーポン券が送付されます。
結果は陰性か陽性かの2通りのパターンになります。
- 抗体価陰性(HI抗体価 8倍以下)→ 定期接種の対象となり、無料で予防接種を受けられます。
- 抗体価陽性(HI抗体価 16倍以上)→ 定期接種の対象にはなりません。
抗体検査の結果の考え方
検査の方法は主にHI法とEIA(EILSA)法が使われています。下記の表に検査結果の基準を示します。
上の表で「風疹の免疫を保有していない」に該当した方は、風疹ワクチン接種をおすすめします。
「風しんの免疫は保有しているが、感染予防には不十分である。」に該当する人も、風疹ワクチン接種を検討してください。特に、妊娠を希望する女性とその同居者や医療や福祉、教育に従事する人(=不特定多数と接する職業の人)は、HI抗体価で32倍以上必要です。
HI法 | EIA法 (IgG) | 結果 |
---|---|---|
8倍未満 | 陰性 | 風疹の免疫を保有していない。 |
8倍、16倍 | 8.0未満 | 風しんの免疫は保有しているが、感染予防には不十分である。 |
32倍以上 | 8.0以上 | 風疹の感染予防に十分な免疫を保有していると考えられる。 |
参考:「医療関係者のためのワクチンガイドライン」のフロー
医療関係者をはじめ、保育士や教育関係者など予防の必要性が高い職業についている方は、一般の人より高い抗体価と確実な記録が必要です。
日本環境感染学会による『医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版』を参考に対応するとよいでしょう。
- 1歳以上で2回の予防接種を受けた記録がある
- 1歳以上で1回のみの場合は、2回の予防接種を受ける
- 1, 2 に該当せず、罹患歴がある場合は、抗体検査を受けて、HI抗体価32倍相当であることを確認する
- 1~3に該当せず、MRワクチンが接種可能であれば、2回の予防接種を受ける
(注意)接種記録がない場合は「受けていない」とみなします。また、罹患歴は、検査診断で確定した記録が必要です。