39歳~56歳男性への定期接種が実現するかも。でも……、流行は止められない。

風しん対策で新たな動きがひろがっています。

過去に定期接種を受ける機会のなかった世代の方々が無料で接種を受けられる方向で国の調整が進んでいます。12月13日の厚生労働省の審議会で公表された「風しんに関する追加的対策 骨子(案)」によると下記のような形態を考えているとのことです。

  • 2019年から3年間かけて、現在39歳から56歳の男性に抗体検査を行ったうえで、結果が陰性(HI法で8倍未満)の場合に、定期接種を行う。
  • 抗体検査は、特定健康診査や企業での定期健康診断で実施したり、休日・夜間に医療機関で検査を受けられるように環境整備を進める。
  • 2020年7月までに対象世代の抗体保有率を85%以上(国全体で約93%)、2021年度末までに、対象世代の抗体保有率を90%以上(国全体で約94%)

定期接種として受けられるようになることは大きな一歩だと思います。抗体検査を必須にすると、結果が分かってからあらためて予防接種を予約し受診する形になるため、実際の行動に結びつけるためのフォローアップが重要です。

2013年6月25日に「田村大臣閣議後記者会見」において、おたふく風邪が推定40万人から130万人、水ぼうそうが100万人、それとくらべて『風しんはまだ1万人』との発言があったことが思い出されます。あのとき厚生労働省サイドに危機感は全くありませんでした。

いま「2020年までに風しん排除」ということで産婦人科の先生方や家族会の方々が頑張ってくださっているのですが、この2020年という具体的な目標も当初はなかったのです。厚労省がたたき台として作成した「風しんに関する特定感染症予防指針案」では『可能な限り早期に風しんの排除を達成するとともに、先天性風しん症候群の発生をなくすことを目標とする。』でした。2020年ならば、東京オリンピック・パラリンピックもあり頑張りやすいのではないかとの委員からの提案で変更されました。五輪までという具体的な目標がなかったら「五輪まであと数年しかないぞ、本当に大丈夫なのか?」といま言われることもなく、うやむやにされてしまう可能性もあったわけです。

オリンピックの年までという非常に分かりやすい目標ができたおかげで各自治体で抗体検査や予防接種の費用助成が続けられてきたものの、流行の中心となった男性への対策が進まなかったために今回の流行が起きてしまいました。ついに「風疹患者増加 大阪で妊婦が感染」(NHKニュース)という報道もあり、すでに影響が出始めているようです。ああ、恐れていたことがとうとう起こってしまった……と、絶句です。

12月に入り新たに報告される患者数は減少傾向にあります。しかしこれは嵐の前の静けさです。2013年の大流行の前年も同じような状況で、いったん患者が減少したあと再び増加をはじめました。残念ながら定期接種を受ける機会のなかった世代を中心に風しんの免疫を持たない人が数百万人単位で残っており、今から抗体検査や予防接種を始めても今回の流行を止めることはできないでしょう。来年の夏にはラグビのーワールドカップが開催されます。前回大流行のパターン通りであれば、海外から観客が集まる時期に大流行のピークを迎えることになります。

女性は20代の方の感染が多く、今後、妊婦さんの感染報告が増えることが予想されます。CRSの場合、症状のでかたが個々のケースによって異なるため、安易に大丈夫ですよとはいえないのが心苦しいのですが、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれることを祈っています。

あのときまだ一万人とか言っていなければ、45人産まれて11人亡くなることもなかったし、今回の流行でまた妊婦さんが風しんに罹って不安な思いをすることもなかっただろうなと思います。私は当初「平成最後の夏の問題」と言っていましたが、来年の夏ごろには「○○(新元号)に持ち越されてしまった平成時代の負の遺産」と言わなければならなくなりそうです。流行を防げなかったことがとても悔しいです。

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