風しんの流行を止めるためには30代から50代の風しんへの免疫を持たない男性への対策が重要といわれています。無料公開されたコウノドリの中で会社で社員の予防接種費用を補助するシーンがありますが、現実の社会でも、今回の流行を受けて対策を始めている企業があります。
NHKの報道「風疹の感染防止 費用助成でワクチン接種促す会社も」によると、バズフィードやヤフーが接種の呼びかけを行っているそうです。
インターネットを通じて独自のニュース配信などを行っている東京 千代田区の「バズフィードジャパン」は、この夏からワクチン接種1回分の費用を全額助成し、近くのクリニックと提携して勤務時間中の接種も認めることにしました。
IT大手の「ヤフー」は、前回、風疹が流行した5年前にワクチンを接種する費用の助成制度を設けました。しかし、その後に入社し制度を知らない社員も増えたことから、今回改めて制度の利用を呼びかけたところ、これまでに83人が接種を受けたということです。
昨年、毎日新聞でも「日揮:社員に無料で風疹予防接種 他企業への広がり期待」という記事で取り組みが紹介されています。
妊婦が感染すると障害がある赤ちゃんが生まれる可能性がある風疹予防のため、プラント大手の日揮(本社・横浜市)は、抗体保有率が低いと言われる27歳以上の男性社員を対象に勤務時間内に抗体検査を実施し、抗体が不十分な社員が同社近隣の医療機関で無料で予防接種を受けられるようにした。
風しんなど感染症対策に積極的に取り組む企業もあります。同社のプレスリリース「全社員を対象に、MMRワクチンなどのワクチン接種費用補助と集団接種を実施―東京都主催の感染症対策支援プロジェクトに参加―」で詳細が公表されています。
病理検査機器・器材のトータルサプライヤー、サクラファインテックジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役会長兼社長:石塚悟)は、希望する社員を対象に、MMRワクチン(麻疹・おたふく風邪・風疹混合ワクチン)、インフルエンザワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンの集団接種を10月26日に実施することといたしました。
私が勤めている会社でも予防接種費用の補助金が出る制度があり、同僚に利用をすすめたところ打ってくださいました。部門ミーティングでも時間をいただいて風しんのことを説明しました。
2013年の大流行、そして今年の流行は、働き盛り世代の30代~50代の男性の患者さんが中心で、その中に風しんへの免疫を持っていない集団がいること、BCP(事業継続計画)、CSR(企業の社会的責任)の観点から職場での感染対策が求められており、風しん対策を行うことで会社のイメージアップにつながることを他社事例もまじえてお話ししました。「どこに行けば打てますか?」という質問をいただいて、東京近辺で平日夜21時までやっているクリニックもご紹介しました。(他にもありましたらお教えいただければ幸いです。)
- 東京ビジネスクリニック (東京駅八重洲口)https://www.businessclinic.tokyo/
- 東京ビジネスクリニック 千葉エキナカ(千葉駅改札内)https://chiba.businessclinic.tokyo/
- ナビタスクリニック(川崎、新宿、立川)https://www.navitasclinic.jp/
上司をはじめ同僚に皆さんに風しんについて関心をもっていただき、すぐにツイッターで呼びかけてくださったり、なんと、風しん予防をよびかけるPOPを自席に立ててくださる方もいました。身近なところでも風しんを防がねばと行動してくださる方々がいるのは大変心強く、感謝の気持ちでいっぱいです。
経営者のみなさま、総務や人事など関係部門のみなさま、どうか風しん対策をご検討ください。風しんなどの感染症対策は会社のブランド価値向上につながります。風疹ワクチン接種の呼びかけ、予防接種のための外出の許可、社内での集団接種、補助金の支給など、貴社でできることから、対策を進めていただければと思います。感染研からは「職場における風しん対策ガイドライン」も出ていますので、ご一読をおすすすめします。
参考資料
- 風しんの感染予防の普及・啓発事業 (厚生労働省)
- 職場における風しん対策ガイドライン (国立感染症研究所)
- 風疹Q&A(2018年1月30日改訂) (国立感染症研究所)
- ストップ風疹 ~赤ちゃんを守れ~ (NHK)
- 風疹をなくそうの会『hand in hand』