CRSもSSPEもワクチンで予防できます。

CRSもSSPEもワクチンで予防できます。

今月から小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となる疾患が大幅に増え、CRSもその対象になりました。事業の対象には麻疹の後遺症であるSSPEも含まれているのであわせてご紹介したいとおもいます。

先天性風疹症候群 診断の手引き』(小児慢性特定疾病センター)によると、先天性風疹症候群は、神経・筋疾患の中に含まれていて、以下の症状のある場合に対象となります。

運動障害、精神遅滞、意識障害、自閉傾向、異常行動(自傷行動、多動)、けいれん発作、皮膚所見、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折・脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合。

なお、慢性心疾患の場合にはCRSではなく心疾患の枠で認定されます。難聴や弱視については助成の対象となっていません。

これはあくまでも限られた範囲の症状に対する医療費の助成であり、難聴や弱視の子どもに対する経済的な支援はまた別枠で行われることになります。たとえば難聴に対しては身体障害者手帳の交付対象とならない軽中度の子どもにも補聴器の購入費用を助成する自治体が増えています。

CRSが新たに対象疾患リストに加えられた背景には、皆さん既にお分かりだと思いますが、2013年の風疹大流行で40人近い赤ちゃんが出生したことにあります。このような対策が取られたことは良いことではありますが、流行の原因となっているワクチンギャップが解消され、また定期接種についても高い接種率を維持しないと、また同じ過ちが繰り返されることになります。

麻疹に感染したあと数年間の潜伏期間ののちに発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)も助成対象で、CRSと同じカテゴリーに含まれています。『2012年麻疹排除に向けて   -SSPE青空の会からのメッセージ-』(IASR Vol. 31 p. 48-49)には以下のような文章が寄せられています。

麻疹罹患後、麻疹自体はいったん治癒して、健常な子供として成長し、その間、SSPEになる可能性があることは、全く予期されないで過ごす。そして、多くは5~10年後に、行動や知能に急な異変が生じて、初めて、深刻な病気に罹患したことがわかる。そして、それまで元気に生活していた子供が、時々刻々と病態が悪化して、寝たきりになっていく状況は、それを見守る親にとって、その心理的な衝撃は、他人には伝え難いほど大きい。

(中略)

機序が解明されなくても、また治療法の開発ができなくても、麻疹さえ排除されれば、SSPEはほぼなくなることが実証されているのである。既に、罹患して しまった患者を救うことにはならないが、新たな患者の発生は食い止めることができるのである。そして、我々のような体験をする家族を確実に無くすことができる。

SSPEに対してインターフェロンやリバビリンを使った治療が試みられていますが、完治する治療法はまだ確立されていません。この病気は麻疹ワクチンの接種を徹底することで予防することができます。

わたしは、最初に風疹について発信したときにこのようなことを書きました。

今は自分自身が風疹になったこと自体は「たまたま」だと思っています。それ自体は良いことでも悪いことでもない。誰でも老人になれば聞こえにくくなるし、若い人でも突発性難聴などで後天性の難聴になることもある。私の場合は聞こえなくなるタイミングがたまたま生まれたときだったというだけです。目の病気にしても通常は中高年から患者が増えてくる病気で、これもたまたま早かっただけです。

とはいっても、聞こえないことで生活に不自由があり、時には障害があるからという由で差別に直面することもあります。そういったときに、障害さえなければ、あんなこと、こんなこと、もっとできることがあったのにと、この理不尽な運命を呪いたくなることもあります。それでも誰かを責めても責め尽くすことはできないので「たまたま」だと思うことにしたわけです。

私がこのように思っている背景には、私が生まれた頃は親世代の多くが予防接種を受けていなくて流行規模が「あんなに流行っていちゃあもう仕方ないわ」と思わされるほど大きいものだったからという事情があります。

今日では子どもへの予防接種が進んで、風疹に対する抵抗力を持っていない大人への予防接種を進めることで、流行そのものをなくすことができる段階にまで来ています。いくつかの国では風疹を根絶できています。にもかかわらず、2013年の風疹大流行において、なぜ幼い命が奪われなければならなかったのか、なぜそれを防ぐことができなかったのか、というやるせない思いがあります。

麻疹と風疹はセットになったMRワクチンが提供されており、同時に予防することができます。CRSやSSPEの予防のためにワクチン接種にご協力ください。

本年も風疹や麻疹をはじめとした感染症によって後遺症を負ったり命を失ったりする人を少しでも減らせるよう情報発信に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。新たな一年が皆様にとって良い一年でありますように。

コメント

タイトルとURLをコピーしました